読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

介護日記・施設拡大中

介護日記・施設拡大中 投稿私小説

ギャラクシー・サンドサンドバーガー

ときは西暦2265年。

宇宙に作られた人工の居住地、 「スペースコロニー」が木星土星の間にありました。 そしてここは、「うず潮」と地球とを結ぶ「宇宙の幹線道路」ーーー ルート246666 通称「ギャラクシー街道」と呼ばれています。 「ギャラクシー街道」が開通した150年前は活気に満ちていましたが 今では老朽化が進み、 閉鎖されるのも近いと言われています。 それでも、宇宙に散らばる星々から、異星人たちがここへやってきます。 実は彼ら宇宙人たちも、人間と同じように悩みを抱えているのでした。 物語の舞台は「サンドサンドバーガー・コスモ店」。 「ギャラクシー街道」の真ん中にひっそり佇む小さなハンバーガーショップ。 映画「ギャラクシー街道」から150年前。

いまは西暦2115年。

ギャラクシー街道にある、普通のハンバーガーショプ。 そこに見かけない異星人3人組が来店した。 まずはおおよそ、その三万年前。 彼らがいた。 いわゆる異星人であり、地球人と比べようもなく、その文明は発達していた。 そんな彼らは今、何をしているのか。 彼らは娯楽を求めて、もっぱら宇宙の旅をしていた。 「あと、どのくらいで次の星に着くのよ」 「三万年くらいだな」 「ちょっと長いね」 彼らの寿命はほとんど永久的だった。 その長い寿命のおかげで、気ままにどこへでも行くことができた。 「だから、ワープ機能のある宇宙船を選べばよかったのよ」 「このくらい我慢するんだな。せっかちなんだな」 「景色を楽しむのよ」 「ここ十年くらいずっと真っ暗なのよ」 「十一年たったら流星が見えるかもね」 「そんなこと言って、わかってるの。みんなも同じこと思っているよ」 「ーー暇だな」 「暇だね」 「暇だよ」 彼らは暇だった。 彼らが前の星に旅行してから、すでに二万九千九百年ほどが経過していた。 それでも、彼らの寿命からしてみれば大したことはないのだが。 しかし、我々人間と彼らの感覚は非常に似ていた。 暇になったら、暇つぶしをしたいとは彼らも思うのだ。 だが、彼らはすでにさまざまなことをやっていた。 しりとりをしたり、宇宙船内で、球技を楽しんだり、ガーデニングをしたり (彼らは数万年の間に独自の品種改良までしていた。) 数万枚のカードで神経衰弱をしたり、想像力を働かせて小説を書いたり、 自分の書いた小説を読んだり、とにかくやりつくしていた。 ちなみに自分の書いた小説を自分で読むのは非常に恥ずかしく なってしまったので途中でやめてしまった。 彼らは次にする暇つぶしを考え始めた。

 

2年が過ぎた。

「あーーーのな」 「どうしたね」 「まだ外真っ暗だよ」 「ーーー」 3年が過ぎた。 「ーーあのね」 「どうしたんだな」 「途中通り過ぎた星にあった『料理』ってものをやってみないかね」 「それはいい考えよ」 意外にも彼らはまだ、料理をしていなかった。 それもそのはずで、彼らは食物を摂取する必要がなかった。 地球人と違う彼らの体は、体内で栄養を循環し続けるシステムを持っていたからだ。 しかし、口は存在していた。 「今更だけどね、気になるレシピもあるのね」 「何なの」 「『ハンバーガー』っていうのだがね」 「どんな食べ物だな」 「英雄が好む食べ物らしいよ」 「ほう、いいな」 「どんな英雄が食べるのよ」 「その星の電波から情報を見てみるとね、どうやら『戦隊』と言われる英雄集団 の中で『黄色』を司る戦士が好む食べ物らしいね」 「『戦隊』とはどんな活動をしとるんだな」 「それが、その星を支配しようとしている悪人を一人ずつ誘い出しては五人ほど でリンチにして、各個撃破しているようなのね」 「非常に堅実な方法だな」 「頭いいよ」 「ところが悪人の方もただではやられないのね。殺されそうになるとーー」 「どうなるのよ」 「巨大化するね」 「巨大化なのよ!」 「巨大化とな! そいつの体の仕組みは我々をも超越しとるな。 あの星にはそんな恐ろしい生物がいたのだな」 「巨大化した悪人を相手に『戦隊』はどうするの」 「彼らも巨大化するね」 「そんな」 「あの星の人はそんなことができたの。全然気づかなかったのよ」 「ああ、しかし、巨大化できるのは選ばれたものだけらしいね。 その戦士は『ハンバーガー』を食べる前に『ハンバーガー』2個を目に当てて 巨大化していたね」 「なんと、『ハンバーガー』の力だったよ」 「それで、巨大化した後はどうなるんだな」 「腕をこう、交差させるとそこからレーザーが出て、悪人を攻撃していたね」 「レーザーとな!」 「どうやら、あの星の住人には隠された力がたくさんあったようなの。 で、レーザーを受けた悪人はどうなるよ」 「爆散するね」 「えっ?」 「えっ?」 「爆散するよ」 「その場で死刑とな! なんと恐ろしい民族だな」 「もっと平和的な民族と思っていたの。そんなに好戦的なのよ」 「しかし、処刑した後『ハンバーガー』2個を重ねて、旨そうに食っておった。 そんな『ハンバーガー』に興味わくね」 「わくな」 「わくよ」 話を聞いていたらわかるが、彼らが電波から受け取った情報は非常に 偏っているうえに混線していた。

 

「早速、『ハンバーガー』を作ってみたいのだけれどね。 実は、うまく電波からの情報を受け取れなかったね。 完成品の画像と一部の 材料の写真は手に入れられたね。これね」 そういうと、目の前に画像が出てきた。 「これが、『ハンバーガー』なのよ。 茶色い皿みたいのに挟まれた植物と動物の加工物に、 排便のような茶色いソースをかける料理なの。 それにしても、変化に欠ける料理だのう」 「え、それはーーー」 「それはーーー」 「ーーーうまそうだな」 彼らの感覚は地球人とは違うのである。 「じゃあ、まずは材料を揃えようね」 「この茶色い皿はバンズといって、あの星から来た画像に製造方法があるな。 材料を ガーデニング室から取ってこよう」 そう言って、彼らの一人がガーデニング室へ向かった。 戻ってきた彼が持っていたのは小麦だった。 「これを電子加工機に入れると、バンズは出来るのね。これで大丈夫ね」 「次は中の植物と動物の加工品なのよ」 「どんなものが入っているんだな」 「一部だけどこれね。」 そういって、見せた画像にはレタス、トマト出ていた。 「うーん、ガーデニング室にあるかな」 「あ、この茶色のやつはもしかしたら、あれかもなの!地上で一番強い生き物」 そういって、また一人が冷凍室へ向かった。 戻ってきた彼が持ってきたのは、熊の肉だった。 「おお、これなんだな!」 「よく気が付いたね。」 間違っているとはつゆ知らず、彼らは喜んでいた。 「そうか、地面に埋まっている部分かもしれないね。もう一つもわかったかもね」 そういって、またまたガーデニング室に向かった。 そして、戻ってきた彼は間違いなく玉ねぎを持っていた。 「写真の通りだな」 「それは皮がついているよ」 「そうだね、剥いておくね」 玉ねぎの皮を剥き始める彼ら、皮を剥くとまた皮が出てきて、 それを剥いたらまた皮がーー。 彼らは玉ねぎの皮を全部剥いてしまった。 「これはまだ実になっていなかったようなのね」 「仕方ないな」 「一つくらい大丈夫なのよ」 「そうだね。あとは材料の写真は無いから、完成品から予想するしかないね。 みんな思いつくかね」 「どうも、今集めた材料だとソースが茶色くなりそうにないな」悩む彼ら。

 

ちょうど二か月経とうとしたころ。 「「「あ!」」」 と、三人同時に何か思いついたようだ。 そして、それぞれが思い思いの材料を持ってきた。 「そういえば、隠し味にこれを入れるとあったのを忘れていたね。 茶色いソースはきっとこれね」 彼はチョコレートを持っていた。 「茶色いソースはこれもきっと入っているな」 彼の持っているのは、ピーナッツバターだった。 「材料はこれでよさそうだね。『ハンバーガー』はどうやら熊の肉と玉ねぎで具を 作り、 バンズにトマトとレタスと一緒に挟んだ料理だからね」 熊の肉と玉ねぎを細かく切って、ツナギにパン粉を入れて、丸く成形した。 「これを『じっくり焼く』と情報があったね。加熱機に入れればいいかね」 「『じっくり焼く』とな。どのくらいの長さかな」 「とりあえず短い時間からでいいんじゃないのよ」 「そうだね、じゃあ、まず一年くらいにして」 彼らの時間間隔は地球人と違うのだ。 「温度はどうするかな」 「あの星の熱源は主になんだったのよ」 「『太陽』だね。じゃあ、六千度くらいで」 そういって、彼らはハンバーグを加熱機に入れ、時間と温度の設定をした。 「それじゃあ、できるまで待っているね」 一年後。 彼らはワクワクとしながら加熱機の扉を開けた。 そこには、何もなかった。 高すぎる温度にすべてが蒸発し、消滅していた。 彼らはもう一度材料を用意して、加熱機に入れた。 時間と温度を短くした。 それでも、彼らは何度も失敗し、ようやく焦がさずにハンバーグを作れたのは 五年後のことだった。 「できたね」 「案外早くできたな」   なんども言うが、彼らの感覚は地球人とは違う。 「すぐに食べるのよ」 彼らはバンズを用意した。 レタス、トマトも用意した。 「じゃあ、ソースをかけるね」 ぷーんと漂う、甘ったるい香り。 「じゃあ、食べようね」 「食べるんだな」 「食べるよ」 そう言って、彼らはハンバーグにソースをかけて、レタス、トマト と合せてバンズに挟み、それをのせて口に運ぶ。 「あれだな」 「あれなの」 「ーーうまいね」 「うまいな」 「最高なのよ」 彼らは『ハンバーガー』を満足げに頬張る。

 

宇宙船の窓から見える景色は今日も真っ暗。 それでも、彼らは楽しそうである。 次の星まで、しばらくかかる。 西暦2115年。 宇宙に作られた人工の居住地、 「スペースコロニー」が木星土星の間。 そしてここは、「うず潮」と地球とを結ぶ「宇宙の幹線道路」ーーー ルート246666 通称「ギャラクシー街道」。 3人の異星人は、『ハンバーガー』を誰かに食べて貰おうと、 ギャラクシー街道、バーガーショップに寄った。 見かけない異星人たちは、大量の熊の肉とレシピももって、これを評価して欲しい と宇宙標準語で伝えた。 バーガーショップの店長は、忙しかったので後回しにしたが、休みの時に 自宅で作ると意外に美味しかった。 ショップのメニューに加える。 忽ち評判になり『サンドサンドバーガー』として150年続くヒット商品となった。

それから、150年後。ときは西暦2265年。

 

再び、ギャラクシー街道の「サンドサンドバーガー・コスモ店」。 今では老朽化が進み、 閉鎖されるのも近いと言われています。 それでも、宇宙に散らばる星々から、異星人たちがここへやって来る。 見かけない3人組の異星人も、再びここを訪れる。 新しいレシピを持って。